GenkiGroupではご利用者により快適で、生き生きとした生活を送ってもらうべく、オムツではなくトイレにて排泄してもらう「オムツ0」の取り組み、そして機械浴ではない、通常の入浴を楽しんでもらう「機械浴0」の取り組みを推進。
それらの取り組みを実現させているのは、介護職員の否定から入る介護ではなく、応援の介護です。
GenkiGroupでは、人間としての尊厳を大切にしたいという想いから、オムツを利用して排泄するのではなく、自分の足で歩いてトイレに行き排泄をする、というオムツ0の取り組みを行っています。
オムツを使っていると、入浴や食事のとき以外は寝たきりの生活になってしまい、他のご利用者との関わりもなくなりがちです。しかしオムツ0の取り組みをはじめてからは、1日3回のトイレ誘導枠を設けており、ご利用者の1日に新しいリズムが生まれ、皆さん活き活きとした表情になっていくんですね。
はじめはもちろん、「オムツでいい」とトイレへ行くのを断るご利用者もいらっしゃいます。しかし少しずつチャレンジしていき、トイレで排泄できたときのご利用者の笑顔を見ると、私たちも頑張ってよかったと思えます。
そしてオムツ0の取り組みによって、ご利用者から「あれをやりたい」「これをやりたい」といった発言も増えましたし、ご利用者のご家族からも喜んでいただけます。というのも、在宅復帰をお考えの方もいらっしゃるため、トイレで排泄できるようになることでご家族の負担も減らすことができるため、ご利用者はもちろん、そのご家族の方のためにも良い取り組みだなと感じています。
GenkiGroupでは機械浴0の取り組みも行っており、私が務める施設では銭湯のような一般浴槽と、ひのき浴槽の2種類があります。もちろん機械浴0を実現するためには、介護職員が技術を身につける必要があるため、内部研修、外部研修を受けており、実際の入浴では介護職員も一緒に入ってサポートすることもあります。
オムツ0の取り組み同様、やはり一般浴に変えることで、口数の少なかった方が今ではお風呂で鼻歌を歌っていたりと、みなさん入浴を楽しんでいます。しかし、どうしてもはじめはみなさん不安を感じてしまうため、無理やり入浴させるのではなく、「なぜお風呂に入りたくないのか?」とお話を伺うことから始めています。
どんなに入浴介助の技術があって、介護職員が入浴介助に自信があっても、コミュニケーションが十分にとれていないと、ご利用者は安心できません。そのため、ご利用者みんなに同じやり方をするのではなく、コミュニケーションを通じて個別ケアをすることが非常に重要です。
また、お風呂はご利用者とお話をする機会が一番多い場所。丁寧なコミュニケーションを通じて、思っていることを言い合える関係を築くことで、入浴の不安を取り除き、「お風呂、気持ちよかった」と言っていただけたときは、本当に嬉しく思います。
コミュニケーションは、日々の介護でも重要です。ある60代のご利用者は最初は口数も少なく、不安げな表情を浮かべている方でした。しかし、「何を考えているのだろう」と思い、日々コミュニケーションを重ねていくことで、いまではフロアのムードメーカーになっていて、とても張り合いのある生活を送っていらっしゃいます。
オムツ0も機械浴0も、介護職員にとっては介助量が増えてしまう取り組みです。しかし、私は一方的な介護、介護者本位の介護ではなく、ご利用者本位の介護をすべきであると考えています。
一般的には、「それはだめ」と否定から入る介護というのが多いと思います。しかし、「やってみなよ」「もう少しでできそうだね」とご利用者がやりたいことを応援する介護は、みなさんの自信にも繋がりますし、私たちにとっても毎日に変化が生まれるので楽しいんですね。
たとえば、ご利用者が手すりを持とうとするとき、私たちが諦めてご利用者を持ち上げてしまったら、本当はできることを私たちが奪っていることになってしまいます。ご利用者が何をしたいのか、また何を考えているのか、コミュニケーションを通じて理解していき、私にしかできない介護ができたときは、この仕事をやっていて良かったなと思える瞬間です。